自然情報

リンドウ 2022.11.06

晩秋の三瓶山草原を彩る草花のひとつがリンドウです。鮮やかな紫色の花は、枯れ色に移ろう草原で、ひときわ目を引きます。漢字では「竜胆」と書き、生薬として重宝されてきました。有名な漢方薬である「熊の胆」よりも苦みが強いため、熊よりも格上の生物として竜が用いられたそうです。ただし、国立公園内での採集は禁止されていますので、ご注意下さい。

(学芸課 井上雅仁)


ノブドウの実 2022.10.30

秋になると、道脇で碧(あお)や紫の色とりどりの実をつけ、目を引くのがノブドウの実です。花は、夏に咲きますが、直径3~5mmで小さく、色も黄緑色で目立ちません。実の大きさは6~8mm、中にノブドウミタマバエなどの幼虫が入りこんだものは大きくふくらみ、10~15mmになります。

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(学芸課 松村美雪)


木星 2022.10.23

今年は9月27日にうお座で衝を迎え、宵の空にひときわ明るい輝きで、目立って見えています。写真の木星は10月14日に三瓶自然館で撮影しました。木星は、天体観察会でも人気の天体の一つで、望遠鏡で観察すると、本体の縞模様だけでなく木星の周りをまわる衛星の姿を見ることができます。

(学芸課 矢田猛士)


空飛ぶ座布団 2022.10.16

夕闇の中、三瓶の森ではアカマツの木の天辺から松ぼっくりが何者かに食べられ、ポツ・ポツッと落ちてきます。食痕をみるとまるでエビフライの様な形に囓られています。落とし主を脅かさない様に赤色のライトを当てると目が二つ輝きます。そのうちに「ギュルルルル、ギュルルルル」と不思議な声をあげてバサッと木から木へと滑空していきました。この動物の正体はムササビで、夜な夜な植物の実や葉などを食べて暮らしています。

ムササビ(滑空中はまるで空を飛ぶ座布団のようにみえます)

(学芸課 安藤誠也)


北の原の地形 2022.10.09

秋になると、三瓶自然館の周辺に広がる北の原にススキの迷路が登場します。2022年は10月8日から11月6日までお楽しみいただけます。
北の原を訪れたら、ぜひ地形に注目してみてください。なだらかな西の原と違って、北の原には大小の丘が点在するように、デコボコしています。この違いは、崩れた土砂のたまり方が関係しています。北の原は、三瓶山の斜面が大きく崩れてなだれ落ちてきた土砂がたまってできています。このとき、山の一部が大きな塊のままでいくつも落ちてきました。そのため北の原は、デコボコした地形となっているのです。
西の原のなだらかな地形の成り立ちは、2022年4月3日の記事を見てみてください。

北の原とススキの迷路

(学芸課 今井 悟)


渡りをするチョウ 2022.10.02

林の中を緩やかに飛翔する、アサギマダラに出会いました。アサギマダラは大型のチョウで、秋になると南へと長距離移動する習性があります。かつて三瓶山から鹿児島県まで移動した例が知られていますが、さらに海を越え南方の地域まで渡りをすると考えられています。

(学芸課 皆木宏明)


後の月 2022.09.25

十五夜が旧暦の8月15日のお月見。約一ヶ月後の旧暦9月13日は十三夜、後(のち)の月と呼ばれるお月見です。十五夜のほぼまん丸な月に比べ、まだ満月には足りない月を愛でる月見です。今年は10月8日にあたります。

(学芸課 太田哲朗)


今年もそろそろ見納め? 夏鳥のようなメジロ 2022.09.18

メジロは全身が薄い緑色で、目の周りの白いリングが目立つ小鳥です。図鑑でメジロを調べると、1年中身近なところで見られる「留鳥」と書かれています。ところが三瓶自然館の水場では、春から秋までしか見ることができません。夏鳥のような現れかたです。じつは、三瓶自然館周辺では冬になるとメジロの姿が見られなくなります。たくさんのメジロがやってくるのは9月まで。10月を過ぎると数が減少し、11月以降はほとんど見ることができなくなります。メジロたちは凍てつく北の原を避けて、少し暖かい山野で冬を過ごしているのです。

集団で水浴びに来たメジロ。目の周りの白いリングは、小さな白い羽根がぐるりと生えている。2020年9月23日サヒメル水場撮影

(学芸課 星野由美子)


カシオペヤ座とケフェウス座 2022.09.11

分かりやすい星座を手がかりにして、隣の星座を探すのが星座探しのコツ。W字形のカシオペヤ座から北極星を見つけ、その途中にある星を頂点にしてできる細長い五角形がケフェウス座です。そこには双眼鏡で楽しめる深紅の星ガーネットスターも。なお、ケフェウスは王様、カシオペヤは王妃様の星座です。

(学芸課天文事業室 竹内幹蔵)


カワラナデシコ 2022.09.04

お盆を過ぎると、北の原や西の原の草むらの中で、鮮やかなピンク色の花が目立ちます。カワラナデシコです。奈良時代に編纂された万葉集では、山上憶良が詠んだ句の中に「撫子(なでしこ)」として登場しています。秋の七草のひとつとして、古くから親しまれています。

(学芸課 井上雅仁)