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アブラゼミ

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 「ミーン・ミーン」この声を聞いただけで急に蒸し暑く感じてしまうほど、セミは夏の昆虫として身近な存在です。また、セミは幼虫の期間が長く、逆に成虫の寿命が短いこともよく知られています。アブラゼミの場合、地中で4年から6年、幼虫は根から樹液を吸って成長します。
ところで、みなさんはセミの幼虫が成虫に変わる(羽化)場面に出会ったことがあるでしょうか?知らないうちにセミの抜け殻だけが枝に残っていたなんてことはないですか?
 昆虫の多くは幼虫からさばぎを経て成虫になりますが、実はセミはカブトムシやクワガタムシのようなさなぎの時期がありません。ちなみにトンボやバッタもセミと同様、さなぎにならず、幼虫から一気に大人になる昆虫です。
 セミの羽化は鳥などに狙われにくい夜におこなわれます。土の中から出たセミの幼虫は適当な木に登って一晩で成虫になります。写真はアブラゼミが羽化をしたところです。アブラゼミの成虫は、翅(はね)が茶色で体も黒色の全体的に地味な色をしていますが、羽化してすぐは真っ白です。しかも、翅には水色のスジが通っていて鮮やかです。これがあのアブラゼミになるとはとても思えません。
 羽化してすぐの真っ白なこの状態はまだ体が柔らかく、飛ぶことができないため、体が乾いて硬くなるまではじっとしています。しばらくして体が乾くころには体の色もすっかりアブラゼミの色になり、夜明けとともに飛んでいきます。
 この時期、三瓶山ではアブラゼミをはじめ、ヒグラシやニイニイゼミなどのセミの羽化が次々に始まります。もし夜に木の枝にとまったセミの幼虫を見つけたら、そっと観察してみてください。一晩だけの神秘的な姿を披露してくれるはずです。

島根県立三瓶自然館 皆木宏明(2003.7.23掲載)